脂漏性皮膚炎とは
皮脂が多い、頭部・顔・首・陰部などに発赤や皮剥けの症状が現れる状態を脂漏性皮膚炎と言います。主な原因は、通常皮膚に存在するカビの一種・マラセチアの影響・皮脂分泌と発汗のバランスが崩壊・ビタミンB群の欠乏・過度のストレス・温度や湿度の影響・高血圧症や糖尿病・肝機能異常が合併するなどが考えられます。新生児期から乳児期に見られる乳児期脂漏性皮膚炎と、思春期以降に見られる成人期脂漏性皮膚炎とに分類されます。
脂漏性皮膚炎の症状
乳児期には、毛髪の生え際やおでこ・眉毛・鼻回りに発赤・皮剥け・黄色いかさぶたができます。成人の場合は、眉毛・鼻周り・耳周りの発赤や皮剥けの症状が現れるほか、頭部のフケが増えます。いずれも、左右対称に出現することが多く、徐々に範囲が拡大することもあります。軽度の痒みが伴います。
脂漏性皮膚炎の検査
特別行う検査はありませんが、他の疾患の可能性を除外するための検査として、パッチテスト・顕微鏡による真菌検査・皮膚の一部を採取する検査を実施する場合があります。
脂漏性皮膚炎の治療
乳児期脂漏性皮膚炎
乳児における脂漏性皮膚炎は、一過性のものでだいたい1～2カ月ほどで自然に軽快していきます。軽度の炎症の場合は、入浴する30分前にかさぶた部分にオイルを塗ってかさぶたを柔らかい状態にして入浴します。入浴しながらかさぶたを少しずつ除去していきます。炎症や痒みが強くてつらそうな場合は、ステロイド剤を短期間塗ります。
成人期脂漏性皮膚炎
成人の脂漏性皮膚炎の場合は、慢性化することが多く、長期にわたって治療を行う必要があります。軽度の炎症の場合は、抗真菌剤（ニゾラールクリーム®など）を塗ります。強い炎症の場合は、ステロイド剤を同時に塗ります。塗り薬の治療に加えて、洗顔や洗髪を徹底して行い、余分な皮脂を除いていきます。
保湿・原因の除去
家事などの水仕事では、ゴム手袋や保湿クリームを使用して、過度な手洗いがある場合はやめてください。また、原因物質が分かっている場合は、極力除去し、できるだけ接触しないようにします。
